空海さんの話

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子どもが夏休みの間に

何度か図書館に行った。

絵本のコーナーで子どもがいろいろ読んでる間に

私も大人のコーナーで立ち読みしていた。

ふと、空海さんの漫画が目に入り

パラパラめくり

一旦返したけど

気になってやっぱり借りようと思い

借りて帰った。

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空海さんの漫画。

私は空海さんについてほとんど何も知らなかった。

弘法大師という名前がついているほど

書が上手い。

なんだかすごい昔のお坊さんで、

確か全国を回ってお寺を建立していた。

以前松江のお寺でも空海の名前を見たことがあった。

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私はまず、空海のお母さんが玉依姫という名前だったことに驚いた。玉依姫といえば有名な神さまの名前でもある。

でもそれとはおそらく関係なく、普通の人間としての玉依姫が白昼に夢を見た。

『そなたは男の子を産む。そなたの身体を借りるぞ。』

神の化身が身籠った赤ちゃんに宿る。

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生まれた男の子は真魚(まお)と名付けられた。

小さい頃から優秀で、

洗練された子どもだった。

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私はこの真魚という名前がとても好きになった。

空海という名前は

実は、空海自身が付けた名前で、

空海が悟りを得たとき

『空と海がまるで一つになり、溶け合い、自分を祝福しているように感じた』

ことに由来する。

空海はとてつもなくすごい人で

自分とはとても馴染まないと感じていたけれど

真魚という名前の少年を

どこか身近に感じた。

空海にも子どもの頃があって、自分の将来に悩んだり社会と折り合いがつかないもどかしい時期もあったのだ、と。

とはいえ、私とは比べものにならないくらいの器の大きさを感じるけれど。

それでも空海は自分の心に正直で

全てを捨てて悟りを得たい(仏神の御心を感じたい)と山に入った。

真言を唱え続けた。

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私は空海のようには、とてもなれない。

でも空海の魂の一雫は感じることができる。

空海は、大日如来の化身だと言われる。

大日如来は全ての宇宙の始まりのエネルギー。だから誰の心の中にもある。

もしも、その一雫が私に話したいことがあるとするならきっとこう言う。

『まごうことなく我であれ』

純粋な我

まっすぐに自分自身で在りなさい、と。

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その火は蝋燭のように

揺れることはあっても

決して消えない。

我であることは

やみくもに自分を信じることでも、

何かを我慢をすることでも、

孤独になることでもない。

ただ、そのことを『知っている』。

我は我であることを。

本当の我が

確かに、微かにではあるがここにいて感じられることを。

そこに消えない炎があることを知っている。

安心している。

そんな状態だと私は感じている。

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私たちは何のために命を得たのか。

ここにいるのか。

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我を表現し

その純粋さで世界を照らして

輝きで満たして

いつか

自分自身が星になるため。

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私たちは

本当は人ではない。

星なんだと

宇宙は囁く。

真魚は私にそんなことを教えてくれた。

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