もう会えなくなった親友へ。大きな学びと気づきに感謝を送る。

もう会えなくなった親友へ。大きな学びと気づきに感謝を送る。

こんにちは。さきちです。

 

今回は珍しく

もう20年ほど前に、本当にあった過去の出来事から私が学んだことを書いていこうと思います。

 

中学生の頃からの親友

中学1年生で同じクラスになり、住んでる場所が隣の駅だったこともあってすぐに仲良くなった女の子が居ました。

彼女はバレー部、私は水泳部と、部活は違ったものの帰りの時間が重なると、いつも寄り道しながら一緒に帰るのが日課でした。

 

彼女は少し複雑な家庭で育っており、実のお母さんとお姉さん、そしてステップファザーと暮らしていました。

多感な姉妹はそのステップファザーと衝突することも多く、親友の胸の奥にはいつも寂しさを抱えているように見えて、私は何とも言えない気持ちになったのを覚えています。

普段はとても明るくはつらつとした彼女でしたが、私には「(実の)お父さんに会いたい」とこぼすことがよくありました。

 

彼女はハッとするくらい色が白く、周りからうらやましがられるほどの美貌を持っていて、私はよく彼女から流行りのメイク情報なんかを聞いたりしていました。

彼女は中学で部活を辞め、どちらかというと不良系の子たちとつるむようになりましたが、それでも私と彼女の仲は変わらず続いていました。

 

帰りにクレープやドーナッツを食べながら、くだらないことを話し、ときには一緒に映画を観たり、夏にはお祭りに行ったり、勉強が苦手な彼女の家で私が追試の家庭教師をすることもありました。切羽詰まる状況で勉強しながらも、こっそり、二人が大好きな「奇跡体験アンビリバボー」を観たりしていました。

今思えば本当に楽しい青春の日々でした。

 

トラブルは突然に

中学高校とそうやって過ごした私たちも、やがて別々の大学へ行き、サークルに入り、新しい友達もできて次第に疎遠になって行きました。

それでもなお、一緒に旅行に行くほどの仲でしたが、毎日会うことはなくなったし彼女が今どんなことを考え、どんな風に過ごしているか詳しいことを話す機会はなくなってしまいました。

 

そうこうして1年も過ぎた頃、彼女からふいに連絡がありました。

「話したいことがあるから、○○駅のマックに行こう」

その○○駅は、私たちがほとんど行ったことがない場所で、どうしてその場所なのか私にはわからなかったけれど、親友が言うんだからと無条件に「いいよ」と約束しました。

 

当日、普段からしているように電車の時間を合わせて乗り合わせ、30分以上かけて○○駅のマックに行きました。

注文を済ませ向かい合わせに席につくと、彼女はその美しい目をキラキラさせて

「ねぇ。私、すごくいいことを知ったの!」と話し始めました。

 

大学で知り合った人が、とてもいいバイトを教えてくれてね。本当にたくさんお金が入ってくるの。

最初はすこしお金がかかるんだけど、すぐにそれよりも大きなお金が入ってくるから大丈夫なんだよ。

バイト先の人たちもみんないい人たちなんだ~

 

と。

 

私は話半分に「新しいバイト始めたんだね」なんて聞いていました。

私は彼女と6年以上の付き合いで、まだあどけなかった頃の彼女を知っていて、たくさんの時間を共に過ごしてきた自負があり、心から信用してもいました。

 

しかしその信頼は、このあと崩れ去ってしまいます。

 

しばらくするとスーツ姿の若い男性2人組が入ってきます。

まるで決まっていたかのように親友と挨拶を交わすと、私と彼女の隣に一人ずつ座ります。

高そうな時計と高そうなスーツ。おしゃれに疎くてもなんとなく「お金持ってそう」なファッションでした。

 

「誰?」と不審な顔で彼女に聞くと

「バイト先の人だよ。今から詳しい話を聞かせてくれるから」と答えました。

 

この時点でも私は疑うことをしませんでした。

 

2時間は話を聞いたでしょうか?

さすがに疲れて来て帰りたくなったのですが、彼女とその男性チームの熱量が大きすぎて、私もそのバイトをする方向へと話は流れていきました。

私も当時無知だったし、何より親友とのつながりがあまりに強くて、その場で席を立つなんて考えもしませんでした。

 

「バイトを始めるのに初期費用が必要なんだよね。30万円なんだけど…」

ついにお金の話がでてきました。

 

「30万円なんてお金持ってるわけないでしょ」と私は言いました。

「だよね。私も最初は借りたから。借りれば大丈夫!

 

「え?」

 

言うが早いか○○駅近くの消費者金融の入口の前まで誘導されました。

(そのためにわざわざこの場所が選ばれていたのねと後から気づきました。用意周到です笑)

 

「30万円借りて来て」と笑顔の彼女に言われ(もちろんスーツの男2人組も一緒にいる)

 

私は借りないと解放されない空気感を察知し、生まれて初めて某消費者金融に入りました。

あのときの鬱々とした室内の感じは忘れられません。

 

30万円借りるといっても、週に何日かバイトしかしていない学生がぽんと30万円借りられるとは思えないし、(借りたくないし)、

私は月々のバイト代を安く見積もって、わざと審査がおりないようにしました。

 

そしてお金を借りることなく消費者金融を出て、「貸せないって言われた」と伝えました。

すると「じゃあ今日はいいや」と言われ(いいんかい)

「特別に集会があるから連れてってあげる」とまた別の駅に移動させられました。

 

無知と世間知らずは本当に恐ろしいと思うのですが、わたしはこの時点でもまだ「親友は私にバイトを紹介してくれている」と思っていました。

それほどまでに「人を疑う」ということを知りませんでした。

 

ビルの一室には同世代の若者がたくさんいて、みんな同様のバイト仲間だと言っていました。

そこで何やら聞かされたあと、十数人に分かれ、有名喫茶チェーンに移動。周囲はすっかり夜になっていました。(丸一日拘束)

喫茶店では幹部という感じの人が「がんばるぞ!うぇーい!」みたいなノリでみんなに握手をして回っていました。

 

ようやく帰路につくことができた親友と私。

親友は終始キラキラした表情で、本当に幸せそうでした。

私は疲れて、「バイトやってもいいかもな…」なんてぼんやり思えてきていました。(こわい)

 

マルチ商法の罠と別れ

翌日、寝て起きたらすっかり前日の魔法は解け我に返った私。(いうても法学部)

怪しさ満点のバイトについて調べることにしました。

親友のことを疑いたくはないけれど、一抹のモヤモヤが私をパソコンへと駆り立てます。

 

ここで私はようやくあのバイトがマルチ商法(いわゆるねずみ講)だということを確信しました。

そして私と同じように勧誘を受けた友人がいないかと連絡を取ったところ、すでに数名が勧誘されたことを知りました。(仲間になっている人は幸いいなかった)

 

わたしは正義感に駆られ、彼女にそのグループから抜けるように電話をかけました。

切られてもなんどもしつこく。強い口調で言ったこともありました。

 

しかし彼女はすでにグループにどっぷりで、家にもときどきしか返っていない様子でした。

 

私の話もまったく聞く耳をもってくれず、説得の言葉も宙に消えていくのがよくわかりました。

自分のふがいなさと、これまで育ててきた彼女との絆がほどけていく悲しさで涙が出ました。

 

高校時代、私と彼女の担任だった先生に相談してみましたが

「あなたがそこまで彼女の面倒を背負うことないのよ。彼女には彼女の人生がある」と言われ、ようやく一体化していた彼女との関係を切り離すことができました。

 

なんだかとても傷ついたし疲れたし裏切られた気持ちもあったけれど、これも大人になるために学ばなくてはいけないことなんだろう。と、

「彼女と縁が終わっても仕方がない」と踏ん切りをつけました。

 

そうして連絡を絶って数カ月。親友のステップファザーから家の電話に連絡がありました。

「○○(彼女の名前)の部屋から契約していないケータイが見つかってね。不審に思って調べたら「勧誘ノート」なるものが出てきたんだ。そこに□□ちゃん(私)の名前があったから何か知ってるかと思って連絡してみたんだ。」と。

 

私は平穏な日々を過ごしていたので、もうかかわりあうのはごめんだと思いつつも、

最後の力をふりしぼって彼女のことを想い、私が知っているすべての事をステップファザーに告げました。

 

借金があることや、犯罪まがいの行為をしていると知ったステップファザーは言葉を失っていましたが、やがて「ありがとう」と言って電話は切られました。

その後、風の便りでステップファザーが彼女の借金を代わりに返済したという話を耳にしました。

 

そんなことがあって数年。

大学も卒業したのち私たちのクラスメートも結婚しはじめた頃、私が行けなかった結婚式で誰かが親友に会ったと聞くことありました。

 

そうして1度だけあの出来事の後、彼女と会うことがありました。二人きりで。

 

彼女は一人暮らしをしていて、彼氏がいると言っていました。

中高を通じてあれほど仲がよかったのに、この時間を私はとてもぎこちなく感じました。

”あのこと”についてあえて触れることはせず、2人でよく帰り道に食べたドーナツを食べながら近況について語り、別れました。

 

そのあともメールのやり取りは続いていましたが、

彼女が唐突に「結婚し、子供を産んで、離婚した。子どもとはもう会えない。」という人生のドラマを凝縮して聞かされたのちは消息不明となってしまいました。

 

私は彼女が本当に大好きだった。

可愛くてひょうきんで、いつも私を心配してくれていて、そしていつも私を褒めてくれていました。

 

彼女が悩んだり苦しくなったりしながらも一生懸命生きていたのを知っていたし、周囲からの愛を彼女自身が素直に受け取れずにいたことも知っていた。

 

だれより彼女を理解していると勝手に思っていたから、説得が聞き入れられなかったとき裏切られた!と勝手に傷ついた。

でも、当時、彼女は彼女なりに正しいと感じたことをしていたのかもしれないし、これまでの感じた寂しさを大学に行って埋めたのかもしれない。

だから私が彼女を一方的に責めるのは間違っている。

だけど。

私も若かったから、彼女を心から許すことができなかった。上っ面では元のように接していても、心からまた仲良くすることはできなかった。

 

本当の自分の気持ちに素直になろう

そうして20年の月日が流れた。

 

私は今思っても、彼女のことがとても好きだった。ずっと長いこと「嫌いだ」と思おうと頑張ってた。でも無理だった(笑)

自分の素直な気持ちを受け入れることができて、今はスッキリしています。

たとえ一時(いっとき)でも、彼女の人生の主要な登場人物として私が登場出来て、なにがしかの影響を与えることができて、役割を終えて去った。

それができてうれしく思うし、それで十分だと思う。

 

私の親友になってくれてありがとう。

 もしいつかどこかであなたにまた会えるなら会いたいよ。

これをどなたかが呼んでくれる時、あなたにも胸がチクりとするような友達との思い出がきっとあると思う。

もしもその思い出が苦く感じているなら、自分の気持にすこし素直になってみてください。

きっと胸のつかえが溶けていくと思います。

 

あなたにとって大切な人だったからこそ、あなたはきっと傷ついたんだと思います。

ちょっとだけ素直になってみてね。

 

それではまたね。

 

 

 

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